「ハローバーチャル」感想

  逆凪(@Saka_Nagi_17)さんに誘われて、VRで遊べるTRPG「ハローバーチャル」をプレイしてきたのでその感想をつらつらと書く。

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 システムはエモクロアTRPG、プレイ人数は一人からのシナリオであり、VRならではの演出もあってとても面白い体験だった。

 そもそも僕はTRPGerかつVRを持っている人間なので、VRTRPGを遊んでみたいという気持ちは大きくあった。B2のころには熱意があって、VRTRPGのアイデアスケッチをしたりVRchatでのTRPGフォースに入ったりはしたものの、結局周りに同じ趣味の人がいなかったため参加できたり形にしたりは出来なかった。大体ココフォリアで十分ではと思った節もある。

 そんな折に、この春Twitterで同大学の人がVRTRPGを作成しているのを見かけてフォローをした。そしてエアリプを飛ばし、逆凪さんの前作、「全て忘れてしまえたなら(エモクロアTRPG」をプレイさせてもらった。目の前にいるNPCや神話生物、そしてPLが楽しめるように上手く誘導などが練り込まれたシナリオには唸らされたものだ。

 さて、今作「ハローバーチャル」は彼のサークルの最新作である。前作から更に演出面が練り込まれているとのことで、胸を躍らせてゲームワールドへ向かっていった。相変わらずシナリオは練り込まれており、「VRらしい」演出も素晴らしく、前作に続いて彼のサークルにしか作れない素晴らしい体験だったと思う。

 

これはリアルで遊ぶ時と同じようにVR空間で机を囲んで物語を進めて行くTRPG寄り」のVR-TRPGでした。今回の「ハローバーチャル」は主人公の視点でダンジョンを探索して物語を進めていく「VR寄り」VR-TRPGです。

 

 さて、逆凪さんの書いた制作秘話に上のような一節があったが、前作との差異は正しくこれであり、そして私がプレイ中に感じた違和感もこれであったように思う。前作に比べノベルゲーとか謎解きのような感が強く、TRPGを期待した身としては少し肩透かしだった。他のプレイヤーはVR側の人間ばかりと聞いたので、TRPG側の視点からこの違和感を掘り下げて考えてみる。脳へのカロリー不足のため箇条書きで失礼する。

 

  • NPCとのインタレクションの不足
    前作は闇がありそうな少女や優しそうな神父さんなど、魅力的なキャラクターが多かった。今作もぽっと出の人々を数えれば同じ程度の人数はいただろうが、基本的にPC(プレイヤーキャラ)が交流するのはAIの少女と謎の案内ロボットであり、人間味のあるキャラクターやPCと話し合うキャラクターが少なかったと思う。シナリオ上仕方ない面もあるのかな......REALちゃんとの最後のシーンはとても良かった。PCに決断を問いつつその覚悟を示す流れが最高。
  • ストーリーが一本道気味
    ストーリーはエンディングに行くまでは二択、その後には多くの分岐があったようだ。だが、PCとして行動を選択できる場面が現実世界/仮想世界の最初のルート選択以外に無く、また一度通った部屋に戻れるようなマップ移動の自由さも無かったため、一本道だなぁと思っていた。PCに入り込むためにはそういう自由さが必要なのだろう。確かにDL(進行役)が勧めていたように、PC=自分とした場合ならば違和感なく進めたのだろうか?前作は行動順、「どの場所にいつ行くか」を選べてTRPGっぽかった気がする。
  • PCとの一体感の不足
    舞台上でPCの態度を示せるようなシーン、キャラクターに生命を与えるロールプレイをするタイミングが少なかったように思う。脳缶を見て視界ジャックされたときにグァァって言ったり、再序盤でREALちゃんと話すときとかその程度だった気がする。ロールプレイは他人に見せないと意味がない(超個人的意見)なため、人間らしいNPCも他PCもいなかったのがロールプレイ不足の原因だろうか。

 

 概ねこの3点が気になった。シナリオライターが魅せたいものが違っていたんだろうなと思う。

 良かった点・前作から更に磨かれた点も挙げておく。

  • ラストの演出
    REALちゃんに対して決断を示すシーンは本当に良かった。引き金を引く感覚を含め、あれはVRでしか出来ないと思う。もしかして剣より銃の方がVRに相性良かったりする?(暴力の感覚がないため) いや、反動くらいは欲しいか......?
  • ロールプレイをすべき地点を明確に示している
    テキセが出来ない環境だとPC発言とPL発言が混ざりがちなので、視界へエフェクトを入れるなどして明確なイベントシーンを作っていたのは良かった。
  • VR初心者向けの最初の部屋
    オブジェクトを調べたらVR空間っぽい会話が出てくるのめっちゃ好き 最高 

 


 そもそもVRでちゃんとTRPGを形にしているだけでめっちゃ凄いんですよね、私には一歩踏み出せなかったので.......次回作は前作と同じホラー系と言うことで、そっちにも期待してます!

 

 VR学園風の舞台でステラナイツとかしたい、誰か作って......
 シナリオ自体に「VR空間が舞台である」っていうメタ構造を仕込めば無理にTRPGVRの舞台に落とし込む必要が無くなると思うんですよね、こう神話生物を電脳化したみたいなシナリオ作ろうぜ! あるいはニャルがVR空間の密室に人々を飛ばしたとか(適当)